日本人の感性あふれる伝統色「和カラー」について
2017年03月24日
色には国や民族ごとに特徴があります。
特に、染色に使われる色には、その国ならではの独特な色が見られます。
日本の色、和カラーにはどんな色があるのでしょうか。
一つの色に実はいろんなニュアンスがある:
色は国際的に「RGBカラー」というもので表されます。
RGBカラーは#FFFFFF(白)、#000000(黒)といった形で表されます。
和カラーも近い色をRGBで表すことはできますが、100%同じ色は表現できません。
和の色はとてもバリエーションが豊富で、同じ緑でも実にいろいろな色があります。
苔色や青苔、笹色や古茶、緑茶など、聞いただけでもどんな色なのか想像力をかきたてられます。
平安時代から用いられてきた伝統色も多く、萌黄色(黄みがかった明るい緑、黄緑)や若草色(鮮やかな黄緑)などは今も馴染みが深い色ですね。
花木の名前がついている和カラー:
「ざくろ」、「向日葵(ひまわり)」など、日本の四季を彩る草花の色もたくさんあります。
面白いのは、「老いる」という名がついた色。
「老竹(おいたけ)」は、年数を経た竹の灰色がかった緑を、「老緑(おいみどり)」は古い松の木の灰色がかった緑色をさします。
こんな微妙な色合いも感じ取る日本人の繊細さには驚きます。
生き物の名前がついている和カラー:
まず、鳥の名がついている日本らしい風情の「鶯(うぐいす)色」。
うぐいすのじゃ根のようにくすんだ黄緑色をいいます。
江戸時代には、もっと茶色がかった「鶯茶」という色が流行っていたそうです。
ほかにも「鳶茶」はトビの羽のような茶色、暗い赤茶色の「海老茶」は伊勢エビの色を表しています。
ちょっと変わった和カラー:
「栗皮茶」は、栗の実の皮のような色合い。
「栗梅」は、栗色のような濃い赤茶色をいいます。
赤みがかった色は梅色として一般に表されてきました。
「弁柄(べんがら)色」は土に含まれる酸化第二鉄の色で、染料として使われていた色。
ベンガラは、産地であったインドのベンガル地方からきています。
「嵯峨鼠(さがねず)」は茶色が人気があった江戸時代の色で、茶色っぽいグレーのこと。
優美で優しい色合いです。
「加茂川鼠(かもねず)」は青みがかったグレーをさします。
江戸時代、華美が禁止されていて着物の色がネズミ色、茶色、藍色に限定されていました。
その3色の中でいかにバリエーションをつけるかを競ったため、微妙な色合いが考案されたのだそうです。
ほかにも、源氏物語にも描かれている「淡香(うすこう)」や、身分が非常に高い人だけが使うことを許されていた「麹塵(きくじん)」など、風雅な色もあります。
(まとめ)
日本の色の名前は、自然の生き物や草花からついているものが多く、同じ色でもバリエーションがとても豊富です。
自然を身近に感じ、自然をよく観察してきた日本人だからこその和カラー。
この繊細な感覚を大事にしていきたいものですね。
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