忖度は悪でコンプライアンスは善なのか?
2024年01月29日
大阪マネキン紹介所の現役販売員オマネキ(仮名)です。
「会社のコンプライアンスが厳しすぎて、何を言ってもハラスメントになりそうで、会社の人と話すのが怖くなった。」と、企業で働く友人から話されることが増えました。
一昔前は「コンプライアンス」という言葉自体を知りませんでしたが、いつの間にやら「コンプライアンス」が世間一般に浸透しています。
コンプライアンス違反をすれば「ハラスメント」とみなされることが増えているようで、「〇〇さんの仕事ぶりは明らかにダメだと思うけど、注意すると『それってパワハラですよね』と言われそうなので、何にも言ってない。」と、触らぬ神に祟りなし状態になっています。
今の私は組織に属している訳ではないので、友人の話を聞いて「大変そうだな」とまるで他人事のようですが、私もよくよく考えてみれば「コンプライアンス違反で一歩間違えば「ハラスメント」と受け取られそうなことをよく言ってるな」と、思い当たる節があり、思い返すと冷や汗が出ます。
ところで「コンプライアンス」の意味を知っていますか?
「コンプライアンス」と言う人が増えた割に、言葉の意味を正確に理解している人は少ないのではないでしょうか。
「コンプライアンスとは、法律を守るだけでなく、企業倫理や社会規範、社会道徳、就業規則などの規則・ルールを守ること。」だそうです。
言葉にすると難しいですが、要は「法を犯さずに社会秩序を守って生活し、属している会社のルールに則って働くこと。」だと思います。
一方で、最近市民権を得た言葉に「忖度(そんたく)」があります。
「〇〇さんて、絶対に上司に忖度してるよね。」と言ったり「あの人に忖度しないと大変なことになる。」と、使ったりしますよね。
忖度とは、相手の気持ちを推し量ったり、推し量って配慮するという意味があります。
要は、相手に気を遣った発言や行動を取ることです。
最近の世情では「忖度は悪」「コンプライアンスは善」という風潮があるように、オマネキ自身は感じています。
芸能人や政治家のスキャンダルがニュースになり、それに伴いコメンテーターが擁護する発言をしたり、SNSで擁護するような投稿をするだけで「忖度している!」と、怒る人が増えました。
SNSは一つ間違えば怖いですね。
そこで考えたのですが、コンプライアンスを気にするあまり、会社の人に自分の言いたいことを言わないのは、結局は「相手に忖度している」ことになるんじゃないかと思いませんか?
このコンプライアンスが曲者で、明確なコンプライアンス違反の線引きがとっても難しいです。
どこに地雷が埋まっているのかを、正確に把握している人はいないため、地雷を踏まないように、誰とも本音で話をしなくなっています。
今後はますます、表面上での付き合いが増え、会社内での付き合いはますます希薄になっていくんじゃないかと心配しています。
私は個人事業主の人に向けて相談業もやっているのですが、お客様から「誰もハッキリと言ってくれないので、何がダメなのかハッキリ言ってください!」と、お願いされることが増えました。
コンプライアンスやパワハラを気にするあまり、友達であっても本音を話してくれず「それでいいんじゃない」と、曖昧に濁されるとのことです。
そのため、お金を払わないと誰にも本音で話してもらえないのです。
なんだかよくわからない時代になりましたね。
最近は、ストレートに物事を発言すると「コンプラ違反」「パワハラ」となるので、「言葉の言い回しを変えて伝える」ことが推奨されています。
例えば、
「仕事が遅い」なら「仕事を丁寧にやっている」と言い換えられます。
「仕事が雑」なら「おおらかな仕事ぶり」と言い換えられます。
「仕事が遅くて雑な人」なら「おおらかで丁寧な仕事をする人」と言い換えられます。これならコンプラ違反にはなりません。
ですが、「仕事が遅くて雑な人」に「おおらかで丁寧な仕事をする人」と言うことは、その人に忖度していることにならないのでしょうか?
もし、忖度が「悪」でコンプライアンスが「善」なら、「仕事が遅くて雑な人」に「おおらかで丁寧な仕事をする人」ということは、その人に忖度していることになるため、コンプライアンスを遵守するなら、「仕事が遅くて雑な人」と、本当のことを言ってあげることが最善にならないのでしょうか。
「忖度」と「コンプライアンス」のことを考えると、何が何だかわからなくなってきますが、要は「伝え方」が問題になっているんだろうと思います。
頭ごなしに「仕事が遅いんだよ!」と言われても、言われた本人はどの辺りの仕事が遅いのかが分かっていない場合もあります。
今までの社会では「仕事が遅い!」と言われれば、訳もわからず「私は仕事が遅いんだ」と全部を説明しなくても理解してくれる人が大多数でしたが、社会は変わってしまいました。
そのため、「なぜ仕事が遅いと周りの人から思われているのか」「仕事が遅くなる理由」「仕事が遅いとどんなデメリットがあるのか」「仕事が早くなるとどんなメリットがあるのか」「仕事を早くする方法」まで説明しないと、納得できない人が多くなったということです。
そこまでやっても「コンプラ違反」「パワハラ」と言われるなら、もう諦めてください。あなたがやれることはやりました。
私の場合、相談してくれたお客様にダメ出ししますが、ダメ出しするだけではなく「どこがダメ(理由・原因)で、他の人からするとどういう風に受け取られているのか」や「どのようにすれば、良くなるのか(方法)」まで話をします。
そこまで話すと「ハッキリと指摘してもらえた上に、ダメな理由や原因、改善方法まで教えてもらえたので、スゴく役に立ちました」と言ってもらえます。その後、やるかやらないかは本人次第です。
ただ単に「遅い」とか「雑」だけ言って、伝わる時代は終わったのです。
そのため、伝え方や丁寧な説明を常日頃から心がけておくと、コンプライアンス違反になりにくいです。残念ながら、そこまでやってもコンプラ違反になることもあります。
販売員さんは、日頃からお客様に対する伝え方、言葉の言い回し、丁寧な説明を必要とされる仕事です。
人に気を使う仕事ではありますが、伝え方が身に付く仕事でもあります。
そのため、週2とか短期の仕事で販売員の仕事をすると、言葉遣いや人への伝え方が身に付く上に、お金まで稼げます。
私も月に10日だけ販売員の仕事をしていましたが、少しずつ言葉遣いが改善していきました。
やはり実践でしか身に付かない技術もあるのです。
コンプライアンス違反にならないためにも、会社で副業が認められているなら、ぜひ一度販売員として働いて欲しいです。
まだ儲かっていない個人事業主の人にも、今後のお客様の対応の勉強にもなるので、販売員の仕事を経験して欲しいです。
今の世の中、コミュニケーションが重視される時代です。ぜひ販売員の仕事を通して、コミュニケーション術と言葉の伝え方を身につけてくださいね。
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